神を礼拝すること

令和5年5月8日(月)より新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行することに伴い、礼拝での規制を緩和します。具体的には、会衆讃美は全節歌唱する、省略していた聖書交読を復帰し、司会者朗読→会衆朗読を交互に行います。
なお、礼拝中のマスク着用は引き続き推奨、「平和の挨拶」の握手の自粛は今後も実施しますので、ご理解とご協力を宜しくお願いいたします。

メッセージ

<アモス書 4章1~5節>
牧師:砂山 智

開会聖句

ですから、兄弟たち、私は神のあわれみによって、あなたがたに勧めます。あなたがたのからだを、神に喜ばれる、聖なる生きたささげ物として献げなさい。それこそ、あなたがたにふさわしい礼拝です。

<ローマ人への手紙 12章1節>

メッセージ内容

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 メッセージ動画公開:12/8 PM 4:39
 


 メッセージ原稿を公開しました。  

<序論>
・聖書には同じ名前や地名が出てくることが多くて、時にまぎらわしく感じることがありますが、アモスという名前の人物は本書にしか出てきません。ですから、アモスがどんな人物であったかということについては、本書の中から推測する以外ありません。

1章1節には、『テコア出身の牧者の一人であったアモスのことば』

と書かれています。テコアとは、イエス様がお生まれになったベツレヘムの南方約9キロの小高い丘の上にあった町と言われています。また、7章14節ではアモス自身が

『私は預言者ではなかったし、預言者の仲間でもなかった。私は牧者であり、いちじく桑の木を栽培していた』

と祭司アマツヤに答えていますので、彼は元々、テコア周辺で牧畜と農業で暮らしていた人で、プロの預言者ではなかった。預言者にプロとかアマチュアということばが相応しいのかどうかは分かりませんが、少なくとも預言者という仕事で飯を食っている人ではなかったということです。そして、彼が活躍した時代は、1章1節後半にあるように

『ユダの王ウジヤの時代、イスラエルの王、ヨアシュの子ヤロブアムの時代、あの地震の二年前』

であった。最後の「あの地震」というのは謎なんですが、概ね紀元前8世紀前半から半ばにかけてと考えていいでしょう。そして、彼が預言者として主に活動した場所は、出身地テコアのあった南ユダではなく、北イスラエルだったようです。

<本論>
1.バシャンの雌牛

さて、今朝のテキストの最初でアモスは

『このことばを聞け。サマリアの山にいるバシャンの雌牛どもよ』

と呼びかけます。牧者であったアモスらしいと言えるかもしれませんが、それでも、まさか雌牛に神のことばを語るわけはないですよね。これは当時のサマリアの女性たちを雌牛に例えて語ったことばのようです。バシャンというのは、ヨルダン川東岸の肥沃な牧草地のことで、そこで育つ雌牛は勝手気まままで、よく肥えていたそうです。ですから、このサマリアの女性、ご婦人たちも、勝手気ままで、贅沢三昧に暮らしていた、裕福な支配階級に属する人たちであったみたいです。
だいたい、この時代は、南ユダもそうでしたが、特に北イスラエルはヤロブアム二世の治世下で、表面的には平和で、バブルと言えるほど.栄した時代だったんですね。
そして、この冒頭の呼びかけに続けて、アモスは、貧しい同胞たちを虐げることへの厳しい非難のことばを告げます。ただ、貧しい人たちへの圧迫や虐げというのは、もっぱら、男どもの仕業と言うか、専売特許で、ご婦人たちの暮らしぶりとは、直接、関係がないように思われます。しかし、アモスは、自分の主人に「何か持って来て、飲ませよ」と命じる妻のことばを引用して、そのような問題の背景に彼女たちの贅沢三昧な暮らしぶりがあることを指摘しているのです。先週、お隣の韓国から驚きのニュースが飛び込んできました。ユン・ソンニョル大統領が突然の戒厳令を発令し、僅か6時間で解除したという。その原因の一つに夫人のキム・ゴンヒさんの相次ぐスキャンダルがあったみたいです。知人の会社の株価操作に関与したとか、不法に高級ブランドバックを受け取ったとか。いつの時代も、国は違っても、権力に近いところでは同じようなことがあるんだなぁと思わされました。そして、それと同時に思ったことは、私たちも、何かの問題に直接的に関わっていなかったとしても、間接的には少なからぬ影響を与えている場合があるということです。日本人一人当たりのエネルギー消費量は世界平均の約2倍で、アジアの国々と比べても10~100倍くらいになるというようなことを聞くと、格差や環境の問題を考えてしまいます。先日、中村哲さんという方が亡くなって5年になったというニュースが流れていましたが、中村さんは医師でありながら、アフガニスタンで干ばつに苦しむ人たちを助けるために土木技術を学び、現地の人たちと共に水路を造りました。志半ばで凶弾に倒れましたが、その志の根底には、イエス様の「あなたがたは互いに愛し合いなさい」という教えがあったんだと思います。中村哲さんにとって、互いに愛し合うとは、アフガニスタンの人たちの暮らしを少しでも良くすることだったのです。

2.ベテルに行って背け

テキストに戻りましょう。アモスは「バシャンの雌牛ども」と呼ぶサマリアの婦人たちに向かって驚くべき神のさばきを語ります。2節のことばは不従順で傲慢な雌牛は釣り針にかけて引き上げられ、銛で突かれる。つまり、屠殺場に連れて行かれるということです。これは、国が滅ぼされた後、彼女たちも捕囚となって強制的に外国へ連れて行かれることを暗示したことばです。そして、4~5節の預言は、ベテルの宗教的な祭りの場で語られたものと思われます。ベテルとは、北王国の初代の王ヤロブアム一世が南のエルサレムに対抗して建てた、金の子牛を礼拝するための聖所があった町でした。アモスの時代、そこで行われる秋の大祭には、イスラエルの各地から大勢の参拝者が集まりました。それは第一に、聖所において彼らの偶像の神への真実と忠誠を証しするため。そして第二に、そのことによって、自分はその神と特別な近さに生きているということを誇示し、それにふさわしい恩恵と保証を神から(もしかしたら王から?)いただくためでした。アモスは、そうした彼らの礼拝こそ、真の神への不
真実さを示す罪以外の何ものでもないと断罪したのです。アモスは、「ベテルに行って神を礼拝せよ」とは言わず、「ベテルに行って背け」と言います。それは、期待と喜びを胸にベテルに金の子牛を礼拝しにやって来た人々が聞いた、神からの驚くべき怒りのことばだったのです。ただ、たとえ金の子牛ではなく真の神を礼拝していたとしても、それだけで果たして私たちにふさわしい礼拝と言えるでしょうか?
以前の礼拝で、カトリックの批評家で随筆家の若松英輔さんという方が、「100分de名著・新約聖書/福音書」という小冊子の中に書いておられた、「神と人とは取引の関係であってはならない」と題する一文をご紹介しました。若松さんはイエス様の「宮きよめ」の場面から、もし、私たちの献げる礼拝や祈りや献金や様々なご奉仕が、神からの見返りを期待して、神と取引するかのような思いで行っているなら、私たちも宮で商売をする商人たちと同じということになると書いておられました。聖書の契約とこの世の契約は違います。神は、私たちが優れた者だから、愛するに値することをしたから愛してくださるとか、この世の取引やギブ&テイクのような関係で愛しておられるのではありません。ただ私たちが神のかたちに造られた者であるがゆえに愛してくださるのです。神の愛がもしこの世の取引のようであったなら、クリスマスの出来事ほどソロバン勘定に合わない出来事はないでしょう。神のひとり子、全知全能の神が、弱い人間の赤ちゃんの姿をとって私たちの世界に来てくださった。私たちの方から神に近づいたのではなく、神の方から私たちに近づいて来てくださったのです。

<結論>

今朝のアモスの預言は、サマリアの裕福な上流階級に属する女性たちへの預言でしたが、新約聖書の「ヨハネ」には、同じサマリアのある一人の女性とイエス様との不思議な出会いの物語が記されています。その物語の最後で、イエス様はサマリアの女性から神を礼拝すべき場所について尋ねられ、「この山でも、エルサレムでもないところで、あなたがたが父を礼拝する時が来る」と言われた後、次のように言われました。

『しかし、まことの礼拝者たちが、御霊と真理によって父を礼拝する時が来ます。今がその時です。父はそのような人たちを、ご自分を礼拝する者として求めておられるのです。神は霊ですから、神を礼拝する人は、御霊と真理によって礼拝しなければなりません』(ヨハ4:23~24)。

今朝の開会聖句には

『あなたがたのからだを、神に喜ばれる、聖なる生きたささげ物として献げなさい』

とありましたが、このサマリアの女性の「私たちはどこで礼拝すべきでしょうか」という質問は、言わば「建前」の質問だったと思います。その「建前」の質問に対して、イエス様は「本音」で答えてくださったのです。そして神は、今の私たちにも、「建前」ではなく「本音」で礼拝することを求めておられます。それは、どこでも、いつでもできるんだよ、と。あなたがたのからだを、神に喜ばれる、聖なる生きたささげ物として献げなさい。それこそ、あなたがたにふさわしい礼拝です。

メッセージ原稿のダウンロード(PDF113KB)

会衆讃美

開会祈祷後:新聖歌67番、メッセージ後:新聖歌78番

聖書交読

詩編100篇 1~5節

2024年教会行事


12月11日(水) オリーブ・いきいき百歳体操 (10時~11時)

#56-2950

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