<詩編 136篇1節~26節>
牧師:砂山 智 師
開会聖句
神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。
<ヨハネの福音書 3章16節>
メッセージ内容
<序論>
・この詩篇は、ユダヤ教の礼拝の際に、上の句を祭司(司式者)が歌い、下の句を会衆が唱和するという形で交読(交唱)された詩篇と考えられています。原典のヘブル語では、上の句、下の句、それぞれがわずか3語程度で構成されているそうですが、内容的には、一つ前の135篇と同じく、神の創造の業とイスラエルの歴史に現わされた神のとこしえの恵みを讃美する歌です。
<本論>
1、創造者なる神
前半部分、特に4~9節までは、神の創造の業をほめたたえています。私は、キリスト教とは全く縁のない家に生まれ育ちましたが、中学からキリスト教主義の学校に行くことになり、その礼拝で初めて讃美歌というものを歌いました。讃美歌90番「ここも神の御国なれば」という讃美歌でした。今も、三番まで歌詞は全部、覚えていますし、大好きな讃美歌の一つなんですが、残念ながら新聖歌には選ばれていません。
(讃美歌90番「ここも神の御国なれば」)
ここも神の 御国なれば 天地(あめつち)御歌を歌い交わし 岩に木々に 空に海に 妙なる御業ぞ 現れたる
作詞したのは20世紀初頭に亡くなったアメリカの牧師で Babcockという人です。彼が、ナイアガラの滝近くの、豊かな自然に囲まれた Lockport というの町の牧師をしていた頃、よく散策に出かけ、その時に、いつも口癖のように言っていた言葉があったそうです。それは、“I am going out to see my Father’s world”(私の父が造られた世界を見るために出かけてくるよ)。その言葉をもとにして作られたのが、この讃美歌だと言われています。また、メロディーも、イギリスの古曲“Terra Beata”(祝福された大地)が使われています。聖書は、緑豊かな自然はもちろん、世界の一切のものは神によって造られたと告げていますが、Babcock牧師は、その大自然の中を散策しながら、瞑想したり、英気を養っていたのではないでしょうか。
「創世記」1章31節には、次のように書かれています。
『神はご自分が造ったすべてのものを見られた。見よ、それは非常に良かった』(創世記1:31a)。
先週の日曜日の午後、宣教センターで「聖書VS科学の行方」と題して講演会がありました。私は、残念ながら出席できなかったんですが、若者を中心に、関心のある方が多いテーマだと思います。以前に、アメリカの神学校に留学した経験のある牧師から聞いた話ですが、アメリカの教会内で、いつも激しい議論に発展するテーマが三つあるのそうです。一つは、同性愛(LGBT)について。二つ目は、人工妊娠中絶について。そして、三つ目が、進化論と創造論についてです。ケンタッキー州には「創造博物館」というものがあり、それは、創造科学と若い地球説というものを基に建てられた博物館だそうです。若い地球説とは、この地球が、紀元前数千年前から一万年前の間に、聖書の「創世記」にある通り、24時間の6日間で創造されたという説です。クリスチャンの中には、そのように信じている方もおられますし、特に、アメリカでは、とても多いのでしょう。私も、もちろん、この世界は神が創造されたと信じていますが、若い地球なのか年老いた地球なのかは、正直に言って分かりません。そのようなことは、これからどれだけ科学が進歩したとしても、人間には分からないこと(証明できないこと)だと思っています。私たちは、長く生きたとしても、たかだか100年程度しか生きることのできない者です。そんな人間に、神様の御業の詳細までを知ることは、到底、不可能なことでしょう。しかし、先程、お話しした讃美歌の作者がそうであったように、この素晴らしい世界に感動することはできると思うんです。
今年も台風による大きな被害がありました。ここ数年、毎年のように地震や台風、大雨による被害が発生しています。この地球、神が造られた素晴らしい世界も、おかしくなってきているのかなと思わされますが、神によって創造された原初の世界は、『見よ、それは非常に良かった』という世界だったんですね。今、色々なところで盛んに環境問題が議論されていますが、「ローマ人への手紙」8章19~22節には、次のように書かれています。
『被造物は切実な思いで、神の子どもたちが現れるのを待ち望んでいます。被造物が虚無に服したのは、自分の意志からではなく、服従させた方によるものなので、彼らには望みがあるのです。被造物自体も、滅びの束縛から解放され、神の子どもたちの栄光の自由にあずかります』(ローマ8:19~22)。
イエス・キリストの福音を宣べ伝えることは、環境問題とも関係があるということではないでしょうか。聖書が語っている「救い」というもののスケールの大きさを改めて思わされます。
2、わたしの恵みはあなたに十分である
そして、今日の詩篇136篇10~15節までは出エジプトについて、16~20節までは約束の地カナンに定住するまでのことが歌われています。先週の講壇交換で、講師の先生が、「途絶えることのない信仰体験」と題して、ご自身の体験から、荒野の中にあっても途絶えることなく導いてくださった神の恵みについてお話ししてくださったそうですが、確かに、この出エジプトから約束の地カナンへ、という歴史的出来事全体が、すべての信仰者にとっての「型(タイプ)」と言えると思います。私の神学校時代に、アメリカのフレズノにあるMB神学校からエルマ・マーティンという先生が来られて特別講義をしてくださったことがありました。先生は旧約学の権威と言われた方ですが、その時の講義の中で一つだけ覚えていることがあります。それは、旧約聖書全体を貫いている最も大切なコンセプト(概念)は「出エジプト」の出来事に要約されているということです。「(罪の支配からの)解放」→「(共同体としての)契約」→「(荒野における)訓練」→「(約束の土地の)相続」ということです。
ここにおられる皆さんお一人一人も、今までの歩みの中でそのような経験をしてこられたと思いますし、今も「人生の荒野」と言えるような中で、苦しんでいる方もおられるでしょう。しかし、私たちが、たとえ、どんなに苦しい状況の中にあったとしても、父なる神様の力強い御手は私たちと共にあるということを、私たちを支えてくださるということを、忘れないでいたいですね。そして、そんな時にこそ、主の恵みは大きいということを。
先週の講壇交換で、私は、広島西教会の皆さんに、「ローマ人への手紙」8章28節のみことばからお話ししたのですが、あのパウロが、
『すべてのことがともに働いて益となる(益としてくださる)』(ローマ8:28)
と書いた神様は、パウロが自分の病について三度も癒してくださいと願っても、癒してくださいませんでした。しかし、パウロは証ししています。「わたしの恵みはあなたに十分である。わたしの力は弱さのうちに完全に現れるからである」と、主は励ましてくださったと。だから、パウロは、イエス・キリストの力が自分をおおうために、むしろ大いに喜んで自分の弱さを誇りましょうと書いたんですね。
<結論>
今日、ここに集う私たちも、この詩篇の作者のように、またパウロのように、心の底から「主の恵みはとこしえまで」と歌うことができるとすれば、それは、イエス・キリストの故であると思います。
ある方が面白いことを書いておられました。それは、信仰には、「原因としての信仰」と「結果としての信仰」があると。「原因としての信仰」とは、人間が神の恵みを引き出そうとする信仰、いわば、何とかして神の恵みを手に入れたい、全能者の力を得たいと、そのようなことを願って神に祈ったり、求めていく信仰です。一方、「結果としての信仰」とは、すでに神が私たちに恵みを施してくださったのだから、神に感謝し、神をほめたたえなければならないという信仰です。私たちの信仰はどっちでしょうか?
「ヨハネの手紙第一」4章10節に次のようなみことばがあります。
『私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、宥めのささげ物としての御子を遣わされました。ここに愛があるのです』(Ⅰヨハネ4:10)。
新改訳聖書は、この少し前の7節から段落を一段下げて書いていますので、これは恐らく、初代教会の人たちが歌った讃美の一節であったと思います。神が私たちを愛し、御子イエス・キリストを遣わしてくださった。それが「福音(グッド・ニュース)」です。
今日の開会聖句は、聖書の中の聖書と呼ばれるほど有名な聖句ですが、今から40年以上も前、私が高校生の時、イエス・キリストを自分の救い主として信じた時に与えられた聖句です。
『神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである』(ヨハネ3:16)。
この『世』というところ、或は『御子を信じる者』の『者』というところに、ご自分の名前を入れて読んでみてください。神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどにあなたを愛された。それは御子を信じるあなたが、滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。アーメン。主の恵みはとこしえまで。
新聖歌
メッセージ後:18番
特別讃美
皆で歌おう
「花も」
「球根の中には」
「GOD BLESS YOU」
聖書交読
伝道者の書 3章1~11節
2019年教会行事
11月6日(水)オリーブ・いきいき百歳体操
新バージョン(脳トレ)がスタートしています!
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