メッセージ
＜創世記 29章1～35節＞
牧師：徳本 篤 師
開会聖句
いのちを喜びとし、しあわせを見ようと、日数の多いのを愛する人は、だれか。あなたの舌に悪口を言わせず、くちびるに欺きを語らせるな。
＜詩編 34篇12～13節＞
メッセージ内容
序文） 上には上がある
自分が何かできた時にそれを自慢して有頂天になることを戒める名言として「上には上がある」ということばがよく語られます。
ところで、1940年にアメリカで誕生した短編アニメ「トムとジェリー」の作品につけられた名前が「上には上がある」でした。どうしてそうなったかは不明です。ある屋敷にすむ可愛いネズミのジェリーをからかって面白がる飼い猫のトム。トムがジェリーを追いかけて部屋中を駆け回ると、部屋の中の色々な物が壊されます。そのことで怒った怖い顔をしたメイドがトムに言います。「今度何か物を壊したら、あんたを家から追い出すからね」。ネズミのジェリーは大きな猫のトムを恐れ、そのトムもまた怖い顔をしたメイドを恐れました。確かにこの作品の名前が「上には上がある」とは、うまく名付けたものだと思います。
本文）信仰者らしい顔した食わせ者
今日の聖書に登場するラバンとヤコブとがどのような親戚関係であるかまとめてみましょう。ラバンという名前は潔白という意味です。彼はアブラハムの弟ナホルの息子ベトエルの息子で、ヤコブの母リベカの兄でした。ヤコブにとって伯父にあたります。ラバンが若い頃は、妹リベカの婚礼のためにアブラハムの僕にもとても親切に振舞ってくれた良い兄でした。しかし、ヤコブがラバンの家に身を寄せて来たとき、ラバンはすでに80歳を超える老人でした。変わったのは外見だけではありません。若い頃とは別人のように狡猾で、嫉妬深い老人になっていました。
ヤコブに優れた才能（それは神の祝福だった）があることを知ったラバンは、それを利用して自分の財産を増やす計画を思いつきました。ラバンが目を付けたのは、ヤコブが下の娘ラケルを愛しているのに気づいたことです。結婚の条件としてヤコブに7年間働くことを約束させました。しかし、結婚当日になるとベールで顔が隠れていることを利用して花嫁を姉のレアとすり替えました。ヤコブがそれを抗議すると（ラバンはそのこともすでに計算済みで）ヤコブに、さらに7年間働くことを条件としてラケルを妻として与えました。こうしてラバンは結局ヤコブを14年間働せることに成功しました。その後も自分の財産を増やすためにヤコブを利用し続けました。ヤコブは自分の兄と父を欺いた報いとして20年もラバンに利用されることになりました。
ラバンはアブラハムと同じ真の神を信じる人でしたが、老年になってから財産を増やす誘惑に囚われるようになり、人格がすっかり変わりました。家で偶像を祀ったり、それを使って運勢占いも行っていたようです。
ヤコブの故郷では、父イサクと母ラケルは、長男のエサウがカナン人の女やイシュマエルの娘を妻に迎えたことを嫌って、ヤコブには自分たちと同じ信仰を持つ親戚の中から結婚相手を探すことを期待してそこに送り出したのですが、ラバンはこの両親の期待に反して相当な食わせ物でした。ヤコブとリベカはまさか自分の息子がラバンに騙され、金儲けのために20年間も働かされたことを知ったなら、どれほど心を痛め、憤慨したことでしょう。欺きとは単なる嘘では済まされません。相手の信頼を裏切って心を深く傷つけることです。
創世記31章43節に、ラバンが狡猾で、貪欲で、自己中心的な人柄がよくあらわされています。
「娘たちは私の娘、子どもたちは私の子ども、群れは私の群れ、すべてあなたが見るものは私のもの。この私の娘たちのために、または娘たちが産んだ子どもたちのために、きょう、私は何ができよう。」
と。ここでラバンは、目に見えるものすべてが全部自分のものだと言い張っているのです。
洞察）上には上がある
父と兄を欺いたヤコブのうえにはそれにもまさるラバンがいました。しかし、そのラバンのうえにはさらに神がおられることを考えてみましょう。聖書に
「思い違いをしてはいけません。神は侮られるような方ではありません。人は種を蒔けば、その刈り取りもすることになります。」（ガラテヤ6：7）
と書かれています。
ヤコブは自分が父と兄を欺いたことで20年もの間苦労を背負うことになりました。しかし、どこにおいても、神の目はいつもヤコブに注がれていました。神は彼の働きを祝福して実り多きものにされました。その一方で、ヤコブを利用して自分の財産を増やそうと考えたラバンの計画をむなしくされました。神はラバンが予測できなかったほどの多くの子どもと多くの財産をヤコブに与えられました。ヤコブがそうなるために、神がずるくて狡猾なラバンの性格を逆手に取って利用されたのです。
こうして神は、かつてベテルにおいて、夢の中でヤコブに約束されたことを確実に実現されました。
「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。わたしはあなたが横たわっているこの地を、あなたとあなたの子孫とに与える。あなたの子孫は地のちりのように多くなり、あなたは、西、東、北、南へと広がり、地上のすべての民族は、あなたとあなたの子孫によって祝福される。見よ。わたしはあなたとともにあり、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、あなたをこの地に連れ戻そう。わたしは、あなたに約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない。」（創世記28：13～15）
今日の聖書個所をそのように読み解いていくと、確かにヤコブのうえにはラバンがいたが、そのさらに上には神がおられるです。「上には上がある」のです。
適用）
われらも今日の聖書から学ぶものとして、神は決して侮られるような方ではなく、人は自分が蒔いた種を、必ずその刈り取りもすることになる、ということを心に刻んでおきましょう。また、世の中には、上には上があることを正直に認め、謙虚に生きていきましょう。そして、人が行うすべてのことの、さらにその上に神がおられることを、何か事があるごとに思い起こすようにしましょう。
神はご自分が約束されたことは、どんなことをしてでも必ず成し遂げられる点で、われらの想像以上に意志の強い方です。何か問題に向き合うときに、行き詰まって自分ではどうにもならない時に、神を思い起こし信頼して従っていきましょう。神と私との人生にはまだまだミステリーが続きます。あなたの神を信じましょう。
新聖歌
開会祈祷後：28番、メッセージ前：450番、メッセージ後：235番
聖書交読
詩篇 29篇1～35節
お知らせ
★本日の礼拝後に聖歌隊の練習を予定しています。
★Tm.T兄は6月17日に結婚されます。お祈りください。
★Tk.T兄は三重県松阪市の牧場で働くことになりました。
★N.U姉、Y.N姉の慰めのためにお祈りください。
2017年度前半の主な教会行事
5月28日 讃美礼拝 聖歌隊の合唱
6月04日 ペンテコステ礼拝
6月13日-15日 牧師研修会（能勢川キャンプ場）
6月24日 役員リーダー研修会
6月25日 讃美礼拝 Y兄姉による特別讃美
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