レンズ豆と長子の権利

メッセージ

<創世記 25章19~34節>
牧師:徳本 篤 師

開会聖句

また、不品行の者や、一杯の食物と引き替えに自分のものであった長子の権利を売ったエサウのような俗悪な者がないようにしなさい。

<ヘブル人への手紙 12章16節>

メッセージ内容


序文) 人は信じるだけで救われるのか。
訪問伝道のためにあるお宅を訪ねたとき、九十代の女性が出て来られました。私が近所のキリスト教会から来たことを伝えてから、聖書について色々と話しました。聖書には、キリストを信じるだけで神様が私たちを救ってくださると書かれていることを説明しておりました。最初のうちは黙って聞いておられましたが、途中から段々と不機嫌になられ、「あなたは私が年寄りだと思って馬鹿にしているのか。そんな嘘みたいな話を誰が信じられると思うか。」と怒り始めました。追い出されるようにその家を後にしたのですが、人は本当に信じるだけで救われるのでしょうか。自問自答してみると、確かに聖書にはそのように書かれているので間違いないことだと思いま。でも本心からその通りだと納得できているでしょうか。 
きょうは、なぜ人は信じるだけで救われるかに注目しようと思います。そのヒントを今日の聖書に出てくる「長子の権利」の意味から、探り出してみたいと思います。

本文) 「長子の権利」の意味とは
本来「長子の権利」とはどんなものだったのでしょうか。申命記21章15節~17節に、このように書かれています。

「ある人がふたりの妻を持ち、ひとりは愛され、ひとりはきらわれており、愛されている者も、きらわれている者も、その人に男の子を産み、長子はきらわれている妻の子である場合、その人が自分の息子たちに財産を譲る日に、長子である、そのきらわれている者の子をさしおいて、愛されている者の子を長子として扱うことはできない。きらわれている妻の子を長子として認め、自分の全財産の中から、二倍の分け前を彼に与えなければならない。彼は、その人の力の初めであるから、長子の権利は、彼のものである」 

この場合は、単純に長男のことを指して「長子」と呼んでいます。長男は他の兄弟たちの二倍の遺産の分け前を受け取る権利があると言っているのです。この原則を今日のエサウとヤコブの兄弟にに当てはめてみると、軽率にも一杯の食物と引き替えに本来自分のものであった長子の権利を弟に売ったエサウのことが気の毒だと思います。逆にそれを巧妙なタイミングでうまく譲り受けたヤコブはずるい男だなと思います。しかし、実際にはそのようにはなりませんでした。父イサクが亡くなった時に、兄エサウの殺意を感じたヤコブは父の家から飛び出し、エサウの前から姿を消しました。その後14年間、まったく音信も無いままその家に戻ることはありませんでした。当然のこととして、父イサクの財産はすべてエサウが引き継ぐことになります。そこで、ある疑問がわいてきます。イサクからヤコブに受け継がれた「長子の権利」とは何だったのか。エサウには与えられないで、ヤコブに引き継がれたものとして、父の財産以外に何があったのでしょうか。

洞察) 祝福の基となる権利
ヤコブを祝福するイサクの祈りにその答えがあります。創世記27章26節~29節に、「イサクは、ヤコブの着物のかおりをかぎ、彼を祝福して言った。『ああ、わが子のかおり。主が祝福された野のかおりのようだ。神がおまえに天の露と地の肥沃、豊かな穀物と新しいぶどう酒をお与えになるように。 国々の民はおまえに仕え、国民はおまえを伏し拝み、おまえは兄弟たちの主となり、おまえの母の子らがおまえを伏し拝むように。おまえをのろう者はのろわれ、おまえを祝福する者は祝福されるように。』」書かれています。
この祈りの内容を要約すると、①繁栄と多くの資産の所有する権利、②兄弟や多くの国民からの崇拝される権利、③祝福する者を祝福する権利、を持っていることになります。 別の言い方で表現すると、イサクからヤコブは「祝福の基となる権利」を受け継いだことを明らかに伝えています。もう一度確認すると、
●創世記12章03節で、神はアブラハムに「あなたを祝福する者は祝福される。」と約束されました。
●創世記26章24節で、神はイサクに「あなたを祝福する者は祝福される。」と約束されました。
●創世記27章27節で、イサクはヤコブに「あなたを祝福する者は祝福される。」と言って祝福しました。
●創世記49章25節で、ヤコブはヨセフに「その祝福は上よりの天の祝福。」と言って祝福しました。

ところで、「祝福の基」となる「長子の権利」について、それを授かったヤコブ自身も最初は十分に理解できていませんでした。後に主のみことばが、目に見えて明らかにされる出来事がありました。それがヨセフが見た夢の物語です。ヨセフが夢で啓示を受けた話を聞いたとき、ヨセフの兄弟も両親もともに怒りました。その話は二度と言うべきではないと諭されました。その後、ヨセフは兄たちに殺されそうになり、外国人に奴隷として売られエジプトに行きます。そこで苦難と奇跡的な出来事を通して、総理大臣の位に着くことになりました。ヤコブの家族が飢饉で苦しんでいたことを知ったヨセフは、彼らに救いの手を差し伸べます。やがてすべての事実が明らかにされたとき、十一人の兄弟と父ヤコブは夢によって啓示された通りに「ヨセフを祝福する者はヨセフから祝福を受ける」ことを理解しました。これが「長子の権利」の持つ意味です。

適用) キリストはわれらの長子となられた
パウロは、ローマ8章29節~30節で、キリストが「長子の権利」を持っておられることを次のように述べています。

「なぜなら、神は、あらかじめ知っておられる人々を、御子のかたちと同じ姿にあらかじめ定められたからです。それは、御子が多くの兄弟たちの中で長子となられるためです。神はあらかじめ定めた人々をさらに召し、召した人々をさらに義と認め、義と認めた人々にはさらに栄光をお与えになりました。」 

ここで、私たちは「長子の権利」について理解したばかりです。それをキリストにあてはめると、「キリストを祝福する者は、キリストによって祝福を受ける」ことであると理解します。

応答) キリストを祝福する人(=信じ受け入れる人)は祝福される(=救われる)
あなたに揺るぎない確信と信仰があるという、その信仰があなたを救うのではありません。あなたがキリストを信じたのでキリストがあなたを救ってくださったのです。今日のみことばの通りに、キリストを祝福する者をキリストは祝福されるのです。 ヨハネ12章13節で、ロバの子に乗ってキリストがエルサレムに入場された時、人々は出迎えて、しゅろの葉を手にしながら大声で叫んで言いました。

「ホサナ。祝福あれ。主の御名によって来られる方に。イスラエルの王に。」

 
キリストを歓迎し祝福する心を持つ人がキリストを信じる人です。キリストは長子の権利を持っておられますから、ご自分を歓迎し祝福する人を祝福することができます。その祝福とは、この世から天の御国の国民として召し出す権利。罪を赦す権利。義人と認める権利。さらに、キリストと同じ姿に変えてくださる復活の栄光と力を与える権利を私たちのために行使されることです。パウロは、キリストの福音について、私たちにそのように伝えています。したがって、キリストを信じる人はすべての罪が赦され、救われるのです。

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新聖歌

開会祈祷後:138番、メッセージ前:235番、メッセージ後:175番

聖書交読

詩篇 146篇1~10節

お知らせ

★本日午後3時から石橋教会にて福音聖書神学校2016年度卒業式が行われます。
★次週26日の讃美礼拝での特別讃美は女性会の合唱です。
★F.N姉、Y.N姉から12日に献金が届けられました。
★S.T姉から16日に献金とお便りが届きました。

2017年度前半の主な教会行事
4月16日(日)  イースター礼拝
4月23日(日)  合同記念会
4月30日(日)  北部地区講壇交換(藤野師来会)
6月04日(日)   ペンテコステ礼拝

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