メッセージ
<ヤコブの手紙 5章1~12節>
牧師:徳本 篤 師
開会聖句
あなたがたが神のみこころを行なって、約束のものを手に入れるために必要なのは忍耐です。
<ヘブル人への手紙10章36節>
メッセージ内容
序文)
新約聖書の中で最も多く「忍耐」ということばで聖徒たちを励まし続けた人はパウロです。彼は実に22回このことばを語っています。比較するとヤコブは4回、ペテロも4回、ヨハネは6回です。パウロは忍耐から得られるものがどれほどに豊かなものであるかを自らも体験して学んだ人です。ローマ5章でパウロは「患難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出すと知っているからです。この希望は失望に終わることがありません。」と、強い確信をもって私たちに約束しています。
私たちの実際の生活においてどのような忍耐があるでしょうか。今日の聖書個所で取り上げられているものは経済格差と社会的圧殺における貧しい人々の忍耐のことです。一握りの大きな富を手にした人々によって経済格差が正当化される反面で、社会的弱者の立場に立たされる多くの人々が生まれることになります。きょうヤコブが忍耐するように呼びかけているのは、そのように弱い立場に置かれ、この世では自分たちの将来に希望が持てない人々に向けて語られたものです。
本文)
では実際に本日の聖書個所であるヤコブの手紙5章1節から12節に注目してみましょう。
1)1節から6節には貪欲な人々が自分たちの都合に合わせて正当化している経済格差と弱者への社会的圧殺行為に対する神のさばきが語られています。
第一に、4節の「未払い賃金」のことです。資産家が自分たちの利益を確保するために労働者への賃金が不正に操作されていることを指摘しています。これは現在でも同様です。企業の利益剰余金が内部留保金として扱われています。本来この利益分は労働者に配当されるべきものですが、企業が危機的な状況からの身を守るための自己防衛資金という名目で企業内に貯め込まれているものです。その額は年々増加傾向にあり、1988年に100兆円だったのが、2004年には200兆円を突破。2012年には300兆円を突破して過去最高の304兆4828億円を記録したと言われます。
第二に、5節の「ぜいたくに暮らし」ていることです。それは生活に必要なという節度を越えた華美な暮らし向きであったり、派手な浪費生活を送っていることです。資産家たちは自分が稼いだものだからそれを当然のことと考え、自分たちが他の人々とは違う特別な階層の者であることを自慢しているのです。
第三に、6節の「正しい人を殺しました」という告発です。ここで語られているのは、資産家が暴力によって誰かを殺したということではありません。この殺人は「見殺し」であり、「社会的圧死」といわれる種類の殺人です。正当に働いても貧しい生活を余儀なくされている人々から賃金を捜査したり、未払いにすればその人が生きていけないほど困窮することが分っていながら、それを自分の利益を確保のために見殺しにするというかたちの殺人です。本人には誰かを殺したという自覚はないかもしれませんが、結果的に彼は人殺しを行ったのです。神はこの人を殺人者としてさばかれます。
2)7節から12節には、弱い立場にある貧しい人々が信仰をもって主が来られる日まで忍耐するようにと、模範を示して励ますことばが語られています。
第一は、7節で農夫たちの生活を模範にするように語りかけています。農夫たちは次の収穫の時期が来るまで、蓄えたわざかな食料を少しづつ工面しながら辛抱強く待ち続けています。自分の未来に対して計画的に準備をし、その日を忍耐強く持つような生き方を追い求め続けなさいというのです。
第二は、10節で預言者たちの生き方を模範にするように語りかけています。この場合の預言者とは多くの人々に知られ尊敬されているアモス、イザヤ、エレミヤなどが思い起こされます。彼らは主のみことばが必ず成就することを確信してひたすらその時を待ち続けた人々です。彼らは預言のみことばを自分の都合に合わせるようなことはしませんでした。私たちも預言のみことばだけでなく、そのみことばを語った預言者たちの生き方に注目し、それを模範にしなさいと語りかけているのです。
第三は、12節で主イエスのみことばを思い起こしてそれを模範にするように語りかけています。「誓ってはならない」と弟子たちに教えられたのは主イエスご自身です。「誓ってはならない」というみことばの意味は、裁判など公的な場において誓約することを禁じるものではありません。それでは裁判所を侮辱することであり有罪になります。主イエスが語られたみことばの意味は、私たちが主の日を待ち望んでいる者らしく、「日頃から自分の言動に対してしっかり責任を取れるような生き方を追い求めなさい。」ということです。それは偽りのない生き方、主に対して誠実で、いつでも主の日を輝く希望の日として待ち望んでいるあかしです。
結論)
結 論)
最後にもう一度パウロのことばを思い出しましょう。
「患難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出すと知っているからです。この希望は失望に終わることがありません。」
私たちもこの励ましのみことばをしっかりと握りしめて、主の御名を崇めつつ、キリスト者として恥じることのない人生を力強く歩んでいきましょう。
新聖歌
開会祈祷後:308番、メッセージ前:251番、メッセージ後:457番
聖書交読
詩篇 50篇1~15節
お知らせ
★本日礼拝後に11月度の聖餐式を行います。
★今週の水曜日は「おしゃべりティータイム」です。
★F.N姉は31日に退院されました。ともに感謝しましょう。
★Y.T姉のために続いてお祈りしましょう。
★今月20日の讃美礼拝の新来会者とゲストのために祈りましょう。
2016年度後半の主な教会行事
11月20日(日) 讃美礼拝(マキ&リリー)
12月25日(日) クリスマス礼拝/祝会
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