反対の本当の理由が知りたい

メッセージ

<ネヘミヤ記 4章1~23節>
牧師:徳本 篤

開会聖句

まことに、彼らは彼を高い地位から突き落とそうとたくらんでいる。彼らは偽りを好み、口では祝福し、心の中ではのろう。

<詩篇 62篇4節>

メッセージ内容

序論)
マタイ20章16節でイエスは神の国でのあるべき秩序について「あとの者が先になり、先の者があとになるものです。」と教えられました。ところがこの世の中で実際に起きている事例として見えることは、あとの者が先になるということは人情的にとても受け入れ難い問題です。妬みや嫌がらせ、陰口やニセの噂などにあらわれてくるほとんどの場合、それが事実であることを証拠づけているのではないでしょうか。
今日の聖書個所において取り上げられている問題もそのことが原因になっていました。

紀元前516年から始まったバビロン帝国からの帰還運動は、一度に全員のユダヤ人が帰還したのではありません。それは幾度かに分けてなされたものです。先に帰った人々とその何年か後に帰還した人々、さらにその後に帰還した人々との間にそれぞれのグループが生じてくることは自然なことでした。何より、根強い先輩争いはバビロンに移住させずにユダヤの地に取り残された人々の子孫でした。彼らは100年以上もの間に現地の異邦人との混血が進んで純粋なユダヤ人ではありません。こうした複雑なグループが混在するところに、あとから帰還してきたユダヤ人たちが以前と同じ神殿を再建すると言い出したのですから、先にその所に住んでいた者たちを激怒させる火種となることは避けられないことでした。

4章の冒頭に登場するサヌバラテは先から居た住民たちのリーダー格で、彼はいつか全ユダヤ人を統治する支配者になることを願っている野心家でした。そんな彼らの前に、ペルシャ王アルタシャスタ2世からの支援を背景にいただいたネヘミヤがいきなり戻って来て、神殿の再建工事を先導し始めたわけですから、サヌバラテと彼と同じ感情を持つ人々にとって、これだけは黙って見逃すことができない問題だったわけです。

本論1) 
<反対する人々にとって都合のよい理由>

  1. 自分たちが後から帰還してきたユダヤ人たちの上に立って、彼らをいつまでも支配し続けるためには、今までのようにユダヤ人が無気力な弱い集団でいてくれる方が都合が良かった(01節)
  2. ネヘミヤの指導によって神殿が再建され神の栄光と力が以前のように回復されたとユダヤ人が思うようになり、それによって彼らが強くなって自分たちに反逆するようになると困る(02節~03節)
  3. 巧妙なことばで人々を脅かして、ネヘミヤの言ったことは到底無理なことで、それは絶対に起こり得ない空想話に過ぎないということをユダヤ人の意識の中に刷り込んでおこうと考えた。(10節~12節、15節)

<ネヘミヤが熟慮した問題の分析と確信>

  1. 彼らのしていることはイスラエルの神に対する反逆的な行為である(02節)
  2. 彼らのしていることはペルシャ王アルタシャスタ2世に対する反逆的行為である(16節)
    4章16節私に仕える「若い者」と「隊長たち」 槍や、盾、弓、よろいで身を固めていた
    2章09節王は「将校たち」と「騎兵」をつけてくれた

洞察と適用)
<ネヘミヤの決断と行動の原則>
足の裏のちりを払い落とす儀式は、これもユダヤ教社会では日常的に行われていたものです。国外に出たユダヤ人が再び祖国の国境に差し掛かる場所に来ると、今まで身に着けていた上着を脱いで、それについた外国のちりやほこりを払い落としてから国境を越え、その後に再び上着を着るということを習慣的に行っていました。当然のように履物も同様にそこで脱いで足の裏についたちりをすべて叩き落とすようにしていたのです。
キリストは、ご自分が遣わされた弟子を受け入れず、ご自分が弟子たちに委託された福音を聞こうとしない人々に対して、抗議する意味で弟子たちにそこで足の裏のちりを払い落とすように命じられたのです。これは弟子たちを拒絶した人々が神から異邦人のように扱われるという意味です。

1 祈りによる霊的な戦いを実践する機会として捉えた(9節、20節)
ネヘミヤはこの戦いが自分に敵対する者たちに反撃することではなく、神の戦いが開始されたことを強く意識し、そのことをユダヤ人に訴え、人々とともに祈りながらこの戦いを進めていくことを目的とした。

2 見張り役と兵士による実践的な警備体制を整えた(16節、22節)
ペルシャ王アルタシャスタ2世が自分を警護するためにつけてくれた将校たちと騎兵は、その後もネヘミヤの身辺で彼を常に警護することになった。ユダヤの人々を半数ずつ交代制にして、半数の者たちが城壁の修復工事を進めていく傍らで、残りの半数が槍を片手に敵の動きを見張る見張り役として各要所ごとに配置された。敵は自分たちの行動が常に見張られた状態では攻撃を仕掛ける隙がなく、ペルシャの兵士たちは少数であっても警備体制をさらに強固にし、防衛効率を飛躍的に向上させた。

3 角笛による緊急時の対策として情報伝達の仕組みを整えた(19節~20節)
ユダヤ人の不安の原因は不意に攻撃された時のことを想像するものであった。ネヘミヤは人々の不安を取り除くために緊急時の情報伝達の仕組みを新たに整備した。見張りの者からの知らせは角笛によって直ちにユダヤ人全員に知らされ、人々はネヘミヤに支持された通りに行動すれば身の安全が確保されることを理解した。人々は安心して修復工事に専念することができたので工事の仕上がりはますます速くなった。

応答と決断)
ネヘミヤに対するサヌバラテの個人的な妬み、帰還したユダヤ人の回復を望まない人々の対立的な感情と巧妙な嫌がらせはユダヤの人々の心を不安にさせ、恐怖に陥れた。しかし、反対者がいて敵がいることによって、かえって互いの信仰が強くされ、様々な点で改善と工夫がなされる機会となる場合があります。

ネヘミヤ4章の記録をそのように受け止めるなら、私たちはここから多くの勇気と希望と知恵とを学ぶことができるでしょう。

願わくは、私たちも今の時代を生きる同じ神の民として、同じような戦い方を身に着けていたい。

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新聖歌

開会祈祷後:334番、メッセージ前:254番、メッセージ後:378番

聖書交読

詩篇 90篇1~12節

お知らせ

★礼拝後に5月度聖餐式を行います。5月1日の昼食はありません。
★次週8日(日)は北部地区講壇交換の日です。千里教会へ寝屋川教会から畑直樹師が来られ、徳本師は枚方教会へ行かれます。
★15日(日)はペンテコステ礼拝です。午後から運営委員会が開かれます。

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